ソニーは11月21日から、家庭用ゲーム機「プレイステーション5（PS5）」の日本語専用モデルを5万5000円で発売し、実質的な大幅値下げに踏み切ります。これで任天堂の家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ2」（4万9980円）とほぼ同じ価格帯となりました。いまだ通常販売が始まっていないスイッチ2の“品薄需要”を、PS5が狙い撃ちするような形となり、日本国内で久々にゲーム機競争が再燃しそうです。理解の参考になる記事を紹介しながら考察します。

ココがポイント

エキスパートの補足・見解

　PS5は高精細なCGや高速ロードを備え、コア・ミドル層に支持されています。スイッチ2は、携帯機になる手軽さや広い年齢層へ訴求するのが特徴で、本来はターゲット層が異なり、直接の競合関係にはありません。

　しかし今回は、スイッチ2本体の品不足という特殊な事情が発生。似た価格帯でゲーム機の性能を考えれば、PS5の購入を検討する層が生まれる可能性はあります。実際にPS5を持たない知人たちに質問すると「この価格ならありかも」と悩む答えがそろって返ってきました。発表タイミングとしては、完璧で恐ろしさすら感じます。

　とはいえ日本市場では、有力タイトルを持つ任天堂の優位は動きません。そしてPS5が日本市場で今後どこまで巻き返せるかは未知数です。それでも今回の発表で、ゲームの関心が高まったわけで、ゲーム業界として歓迎すべきなのは確かでしょう。

　日本の値下げを断行できるのは、欧米市場での成功があり、業績が安定しているため、マイナス要因もある程度許容できる判断が働いたのでしょう。成功すれば日本でのイメージアップ・シェア回復につながり、失敗しても日本市場の優先度を下げれば良いだけ。リスクは低く総合的に練られた戦略といえそうです。